疲労

 

現代社会において、疲労は多くの人が抱えている問題かもしれません。平日の電車の座席では、ぐっすり眠っていらっしゃる方を多く見かけます。さらに、立って吊革につかまりながら寝ている器用な方を見かける時もあります。皆さん本当に疲れていらっしゃるんだなと思います。5日連続で働くこともきついのに、さらに通勤、家事、育児、、、、、と立場によって様々だと思いますが、疲労がたまってしまうのも仕方のないことかもしれません。

 

私自身、疲れすぎてどうしようもない時期がありました。仕事から帰ってきて夕食をとるともうダメです。エネルギーが切れたかのように動けなくなり、そのままベッドに直行です。でも、まだ歯も磨いていない、お風呂にも入っていないから起きなきゃという気持ちだけは頭にあるので、眠るわけではありません。どうにか動けるようになって夜中にようやく起きだして、シャワーを浴びたり、歯磨きをして寝るわけです。この時点でもう睡眠時間は数時間しか確保できなくなります。朝起きてももちろん疲れは取れていないですし、その日も同じことの繰り返しでまさに負のスパイラル状態でした。

 

私はこの状態を漢方などの力を借りて改善してきましたが、その時の私は健康もそうですが、時間をもらったような気分でした。いつもだったら疲れ切ってベッドでゴロゴロしてしまう時間を、趣味や仕事の勉強や他のことに使えるなんて、とものすごい得をしたような気になったものです。時間はお金では買えないとよく言われますが、私の場合は時間をいただいたようなものでした。

 

東洋医学では、このようなエネルギー切れの状態の多くは「気虚」から起こると考えます。「気虚」はその名の通り「気」(エネルギー)が不足している状態のことです。仕事や家事で忙しかったり、または病気などで体力が消耗して気が不足してしまい、減った分の気を補えていないことが原因になります。気は主に飲食物を通じて生み出されますので、食生活がおろそかになったり、胃腸の働きの低下によって飲食物を消化できなかったりすることも気虚の原因の1つになります。気虚の状態が進むと、病気を引き起こしてしまうということになりかねませんので、早めに対策したいものです。

 

気虚を改善するにはやはり、基本的な食事、睡眠が大切になります。規則正しい生活が難しい方もいらっしゃると思いますが、まずはできるところから取り組んでみてはいかがでしょうか。平日が難しければまずは休日に、遅くとも日付が変わる前までには寝るようにしてみてください。良い睡眠を得るためにも食事は寝る3時間前までに済ませると良いでしょう。帰宅が遅い場合には、なるべく消化の良いものをよく噛んで食べてください。その際には、腹八分目を心がけるようにすると良いかと思います。食べ過ぎてしまうと、消化に気が多く使われてしまって気を生成するはずの食事で気を消耗してしまうことになりかねません。特に胃腸の弱い方は、消化の良いものを中心によく噛むことを意識してみてください。気を補う食材としては、人参、長芋、米、かぼちゃ、豆類、きのこ類などがあります。また、キャベツ、大根なども胃腸の働きを助けてくれますので、是非普段のお食事に取り入れてみてください。

 

疲労の改善には漢方も効果的です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。