女性の更年期は、閉経をはさんで前後各5年ほど、合計約10年間を指します。閉経の時期には個人差がありますが、大体50歳ぐらいが平均的な閉経年齢です。
この時期、更年期の女性の体は、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減ります。この女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少によって引き起こされる症状を更年期障害といいます。
代表的な症状には、ホットフラッシュ、不眠、めまい、寝汗、精神不安、などがありますが、個人差が大きくその症状も多岐にわたります。本人でもそれが更年期によるものと分からないことがあるほどです。
令和6年2月に経済産業省が発表した「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」によると女性の更年期症状による経済損失は、約1.9兆円とのことです。この中には、パフォーマンスの低下や離職も含まれています。体の不調で思うように仕事がはかどらない方や、仕事を続けたくても心身がついていかず退職したケースもあることでしょう。
この数字は経済損失を表していますが、この時期の女性がどれほど大変な状況にあるかということを表す数字でもあると思います。
中医学的には、更年期の原因は「腎」と深くかかわっていると言われています。「腎」とは生命エネルギーの源である「腎精」を蓄える臓器で、発育や生殖をつかさどっていますので、加齢によって「腎」が衰え「腎精」が不足することによって、ホルモンの失調が起こりやすくなり、様々な不調が起こります。
閉経は避けることのできないものですが、不調が起こる前や更年期の初期のころから養生することで、穏やかに更年期を乗り切ることができます。
基本的なことですが、食生活や睡眠など生活習慣を見直し整えていくことが大切です。また、気血を巡らせるためには軽い運動も効果的です。運動と聞くと億劫になってしまうかもしれませんが、ウォーキング、ヨガ、ストレッチ等、楽しみながらできるものを探してみましょう。
更年期の不調には漢方も効果的です。早めのケアが大切ですので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。