学生の頃、とても仲の良い友人に「私は今日生理前でブルーだから、一人にしておいてくれる?」と言われたことがあります。すごくイライラして、周りの人を攻撃してしまいそうなのでとのことでした。当時はPMSという言葉はあまり一般的ではなく、私自身生理前にそのようなことがなかったため少し戸惑ったのですが、彼女の希望通りにした覚えがあります。私が高校生の頃の出来事ですが、生理前の自分の状態を把握し周りを気遣っていた彼女はとても大人だったなと思います。
PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で、日本語では月経前症候群とも言われています。月経前に身体や心の不調が起こる症状です。女性の月経周期にはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが関わっていて、このホルモンは周期の中で増減します。その変化によって不快な症状が引き起こされてしまいます。
主な症状としては、イライラ、やる気が出ない、気分の落ち込み、むくみ、乳房の張り、頭痛等がありますが、人によって症状も様々です。
中医学では、PMSは「肝」と関係の深いものと考えられています。肝とは気(エネルギー)や血をスムーズに流し、自律神経や性ホルモンを調節する働きがあります。肝はストレスの影響を受けやすく、過度なストレスにさらされていると機能が低下してしまいます。肝の機能が低下すると気の流れが滞り(気滞)、性ホルモンのバランスが崩れ、イライラ、気分の落ち込み、胸の張りなどの症状を引き起こします。気は血や水(血液以外の体液)を巡らせる働きを持っていますので、気滞により、瘀血(血の滞り)や水滞を引き起こし、肩こり、頭痛、むくみ等といった症状が現れます。
また、上記以外にも気血の不足によって引き起こされる症状もあり、その方の体質や生活環境などにより原因も様々で、現れる症状も異なります。
対策としては、ストレスを溜めないこと。生活状況によっては難しい方も多いとは思いますが、こまめにストレスを解消していけるよう少しでも力を抜ける時間をつくることが大切です。周りの人やその道のプロに頼ることもひとつの手かと思います。また、この時期は滞りやすい時期ですので、適度に体を動かすようにすると良いでしょう。
そして、なんといっても食事、睡眠などの生活習慣を調えることがポイントです。様々な不調の根底には、生活習慣の乱れがある場合が多いですので、できるところから少しずつ取り組んでみましょう。
PMSの改善には漢方も効果的です。どうぞお気軽にご相談ください。